どんぶりちゃわん

作品やイベントの雑感等々

青春ブタ野郎シリーズ(アニメ) 私感。

 青ブタ、めちゃくちゃ良かった。やっぱりこういう青臭さ全開のやつが好きなんだなあって感じ。

 アニメは5人のヒロインにそれぞれスポットが当たっていくオムニバス形式に近い形。ヒロインたちはそれぞれ何かしらの悩みを抱えていて、それが現実では到底ありえないであろう形(人から認識されなくなる、同じ日を繰り返すなど)で表面化する「思春期症候群」に悩まされる。それを主人公である梓川咲太が解決していく、というのが大まかな流れだった。

 当たり前といえば当たり前なのだが、ヒロインたちの悩みは程度の大小こそあれど世の中の人間達が抱えて過ごしてきたものだったように思う。僕も共感した悩みが少なくなかった。だから僕自身このアニメを通して気付かされたこともあったし、逆にこれまでの人生でもう自分なりの答えを得てしまった問題もあった。たぶんあと4,5年若かったら色々な答えをこの作品から得ていただろうなと思う。

 雰囲気が似ている作品に中学生の僕が多大に影響を受けたココロコネクトというアニメ/ラノベがあるのだが、そちらより激情が剥き出しになることが少なく、少し理性的な印象を受けた。まあこれは深く考えたわけでもないし、あくまで主観的なパッと見の印象。ココロコネクトの話もいずれしたいね。

 この作品に惹かれた一番の点は悩みに対する咲太の解答の優しさである。少し言い方が悪いかもしれないが、背中を押してくれるような強い力を持ったものでは決してなく、そこにいて寄り添ってくれるようなひたすらに優しい解答。それは咲太が弱さを知っている人間だからというのによると思う。咲太も思春期症候群に悩まされた一人であり(作中で常に悩まされてはいるのだが)、そこから立ち直った経験があるからこそ、そのような解答が出せるのかなと感じた。そういう面が好きだからただひたすらに優しい回答を提示してくれた8話が好きなのかなと思った。3,12,13話あたりも好きだけど。

 あとこの作品を見終えて得た知見は自分の好きな人にだけ愛を持って接すれば良いということ。いつものことながら言い方があまりよろしくないね。

 近頃、人類みんなに対して愛を配り歩いているかのような人に出会ってしまって、そんなデカい愛を持った人になりてえなあと思ってしまったんだけれども、よくよく考えてみたら、僕はその人が自身にある程度好意を持っているであろう人に対して愛を返しているのしか見たことがなくて、ただただ母数が多過ぎて目が眩んでしまっていただけだったことに気づいた。それだけ多くの人間に愛され、愛を返しているのはやはり凄いことなんだけれど、僕は愛の含有量がそれほど多いタイプじゃないし、まあそこらへんは自分なりにやっていければいいかなと思った。

 アニメを振り返ってみると咲太は5人のヒロインたちの悩みに寄り添ってあげていてめちゃくちゃ優しい人間に見えてくるけれど、それは咲太がその子たちのことを人間的に好きだからであると思う。嫌いな人間には容赦がなかったりするしね。そんなところから、別に全人類に対して愛を振りまく必要は無いなと感じました。僕はどこぞの宗教の教祖様でも無いし。

 総括。歩みは自分なりのペースでいいんだよというのを思い出させてくれる作品でした。最後に作中の言葉を。

「昨日の私よりも、今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいなと思いながら生きています」

こういうこと。2019年初夏に映画も公開されるようなので見に行きましょうね。