どんぶりちゃわん

作品やイベントの雑感等々

今日も僕は生きていく。

 生きていると楽しいこと、つらいこと、嬉しいこと、悲しいこと、色々なことがある。それを今こうして感じられているのはやっぱり「生きている」からなんですよね。

 8年前の今日、どこかで選択を間違えていたら僕はここにはいなかった。かもしれない。

 見知らぬおっちゃんの言うことを聞いていなかったら、道が空いていて当初の目的地に辿り着いていたら、車の中に置き忘れた荷物を取りに戻っていたら。今思うと色々な分岐点があった。その時その時に選ぶべき道を選んだから、いま僕はこうしてぼんやり書き物なんかをすることができています。

 あの大震災を被災地ど真ん中で経験したにも関わらず、今こうして生きているのには意味があるのだと僕は思う。別にあの時はこんなに大変だったんだぞ、なんてことを伝えていく必要は特にないと思ってるけど。

 もちろんあの時起こったことを忘れたいというわけではない。どす黒い渦の中でおもちゃのように車がぐるぐる回っていたこと、避難所で見知らぬおばちゃんからもらった生姜せんべいの味、3日間連絡がつかなかった父の顔を見たとき胸の中にこみ上げてきた感情。全て忘れるわけがない。こんなものは自分の中にしまっておけばいい。って言いながら書いてるね。

 津波に飲まれたくなかったら海から遠いところじゃなくて出来るだけ高いところに逃げろとか、ラップがあれば水が無くても無限に皿が使いまわせるぞとか、そういうことを伝えていく必要はあるのかなと思う。一人でも助かるためにね。

 

 今年の今日はなぜだか涙が溢れて止まらなかった。今日も今日とてバイトだったけど、昼休みは休憩室で一人泣きっぱなしだった。今までは今年も来たな、くらいにしか思わなかった。無意識に避けていたのかもしれない。やっと向き合えたのかな。身内の誰が死んだわけでもなかったし、家も直して住める程度には形が保たれていたけれど、心にはひびが入りっぱなしだったのかもね。

 散々泣いて目を赤くしながら「花粉症なんですよ」なんてごまかしてバイトに戻ったけれどさすがにバレていたかもしれない。こんな適当な嘘をつけるのもやっぱり生きているからなのです。

 今日も僕は生きていきます。